「光目覚まし時計」と「高照度光療法器具」の違い
よく光目覚まし時計に関する問い合わせを受けます。しかし、質問内容をお聞きすると誤解されている場合がほとんどです。そのため、ここでは光目覚まし時計と高照度光療法器具の違いについて、目的、対象者などを含めて具体的に比較表で説明します。
光目覚まし時計 | 高照度光療法器具 | |
---|---|---|
目的 | 自然に気持ち良く起床すること。 体内時計の調節はしない。 |
・体内時計の調整。 ・昼夜のメリハリをつけて生体リズムを整える。 |
対象者 | 健康な状態の範囲ではあるものの、寝起きの悪い方や二度寝しやすい方。 | 病気レベルの症状の方、特別な目的を持つ方。 ・冬季うつ病の方。 ・睡眠障害、昼夜逆転の方。 ・時差ぼけの方。 ・スポーツパフォーマンスを最適化したい方。 ・交代制勤務の方 等々 |
照度 | 数百ルクス程度のものが多い(数十cm距離)(注記*)。 設定したアラーム時刻の30分程度前から徐々に明るくなる。 |
5,000~10,000ルクス(数十cm距離) 手動スイッチで一気に点灯する。ブライトライトME+はタイマーでも指定時刻に点灯可能。 |
大きさ | 小型・軽量なものが多い。 | 電気ストーブより一回り大きいものが多い。 大きい理由は、発光面を広くして「輝度」を下げ、まぶしさを低減して目の安全性を確保するため。 |
原理 | 朝、睡眠が浅くなってきた時に少し明るくするだけで起床しやすくなる。 朝、カーテンを開ければ起床しやすくなるのと同じ。 体内時計には影響を及ぼさない。 |
目から入った高照度の光の刺激が、脳の視床下部に作用して体内時計を調節する。 一般には起床後に使用する場合が多い。目的によっては夕方や夜使用する場合もある。 |
★原理的に、発光面積の小さい小型の機器では高照度光療法器具は作れません。
発光面積が小さいとわずか数cmの距離でも10,000ルクスを出すには「輝度」が極端に高くなり、どんなに光を和らげてもまぶしさの限度を超え、目の網膜が焼けるような極度な負担がかかるからです。とても目を開けていられません。「輝度」を安全レベルに下げるためには、発光面の面積を広げるしか方法はありません。
「光目覚まし時計」と「高照度光療法器具」の見分け方
このように、光目覚まし時計と高照度光療法器具は本来その性格がかなり異なるので、十分理解した上で選択する必要があります。しかしながら、光目覚まし時計であるにもかかわらず、高照度光療法が可能であると強引に訴求している製品が存在するので要注意です。
また、ネット上には「光」の効果や影響に関して間違った説明を行っているサイトが多く見られ、光目覚まし時計と高照度光療法器具を同列に扱って説明している場合も多く見られます。明らかに知識や理解が不足しており、誤解を与える情報が広がってしまうのは悲しい限りです。
光療法は2500~10000ルクスと定義されています。しかし、実際には5000~10000ルクスが使用されます。2500ルクスが使用されない理由は、下記にように2時間もかかるからです。
- 2,500ルクス: 2時間
- 5,000ルクス: 1時間
- 10,000ルクス: 30分
光療法器具なら30cm以上の距離で10,000ルクスです
光療法器具の仕様では、10,000ルクスが一つの基準となっており、「何cmの距離で」10,000ルクス出せるかが示されます。よく「この光療法器具は何ルクス?」と聞かれますが、詳しい方は「この光療法器具は(10,000ルクスを前提として)何cm?」と聞かれます。
したがって、10,000ルクスを得られる距離を明示しない光療法器具はあり得ません。現実的な使用を考えると、10,000ルクスを30cm以上の距離で出せるのが光療法器具です。光目覚まし時計では、このような距離で10,000ルクスをだすことはできません。目の安全性を無視して、注記に記載したような強力なサーチライトを使えば別ですが。