冬季うつ病(季節性うつ病)
冬季うつ病とは、季節の変化に起因する季節性うつ病の一つです。秋から冬にうつ症状が現れ、春先になると自然に回復していきます。
夏に起こる場合もありますが、秋から冬にかけて起こる場合がほとんどであるため、季節性うつ病というと、冬季うつ病のことを指す場合が一般的です。
冬季うつ病の特徴と症状
冬季うつ病は、その名の通りうつ症状が現れますが、一般的なうつ病と大きく異なるのは、過食、眠気といった症状が現れやすいことです。
冬季うつ病の代表的な症状
- 気分が落ち込み無気力となる。自己否定的になる。
- 集中力が著しく低下し、日常の家事や仕事ができない。ぐったりとしてひじょうに疲れやすい。
- 人付き合いがおっくうで外出がつらく活動量が低下する。
- 睡眠時間が長くなり、日中でも眠気がある。
- 食欲が旺盛で、特に甘いものや炭水化物が欲しくなる
過食や過眠は、一般のうつ病ではほとんど見られません。逆に、摂食障害を伴う場合があったり、不眠で苦しまれる方が多いのが実情です。また、一般のうつ病では自殺のリスクが一定の割合を占めますが、冬季うつ病ではほとんど見られないと言われています。
冬季うつ病は一度発症すると繰り返す
冬季うつ病は、若年層ではほとんど見られず、成人前後から徐々に発症するようです。そして、一度発症すると毎年繰り返すと言われています。また、男性よりも女性が圧倒的に多く、男性の数倍という報告もあります。
冬季うつ病の原因は日照量の不足
冬季うつ病の原因は日照量の不足であると言われています。そのため、日照量が不足する秋から冬にかけて症状が出現し、緯度の高い日照の少ない地方ほど冬季うつ病の発症率が高いことがわかっています。
ただ、実際にブライトライトの販売状況から冬季うつ病を見ると、東京・大阪・名古屋などの大都市に冬季うつ病を発症する方が多く見られます。これは日本全国に冬季うつ病は広がっており、発症率が低くても人口の多い地方に患者が多くなることを示しています。そのため、緯度が高いか低いかで冬季うつ病を考えることは要注意です。
セロトニン
冬季うつ病の原因をもう一歩踏み込んで見ると、日照量の不足によりセロトニン神経機能の低下を引き起こしていると言えます。光が不足するとタンパク質(必須アミノ酸のトリプトファン)からセロトニンを合成する力が弱くなり、うつ症状を引き起こします。また、トリプトファンを効率よく吸収するには糖分も必要とされるため、甘いものや炭水化物を多量に食べたくなる傾向があります。
注記:
日照量の不足といっても、からだに浴びる光の量の不足ではありません。目から取り込まれる光の量の不足です。目で十分な量の明るさを感じることが必要なのです。
冬季うつ病の対処法
冬季うつ病はセロトニン神経機能の低下であることを説明しました。したがって、その対処方法としては下記の3点となります。
- 光の補充
- タンパク質(トリプトファン)の補充
- 糖分の補充
1. 光の補充
第一の対策は光の補充で、高照度光療法を実施することです。日照不足によりセロトニン神経機能の低下を招いている状態ですから、春や夏のように十分な光を目から取り込んでセロトニン合成を活性化すれば良いわけです。
ブライトライトME+の販売・サポートを行っていると、冬季うつ病の改善例は秋冬のシーズンでひじょうに多くなります。高照度光療法による改善は、早ければ光を照射した当日から、遅くても1週間で改善効果を感じられる場合が多いです。
- すなおクリニック 季節性気分障害(冬季うつ病)(さいたま市大宮)
- 朝がおクリニック 冬季うつ病外来(東京都日野市)
- 中日新聞(東京新聞)に冬季うつ病の記事(2012年12月25日)
- 朝日新聞(秋田県版2010年3月8日)に「冬季うつ病」の記事
- 冬季うつ病(季節性うつ病)
日経ヘルスに冬季うつ病の対策として紹介されました。2013年1月号。
「病院での治療」の中で、個人でも購入可能な機器として紹介されています。
週間ダイアモンドの2012年7月号に冬季うつ病や
概日リズム睡眠障害への対処法として紹介されました。
2. タンパク質(トリプトファン)の補充
十分に光を補充しても、食生活が偏ってセロトニンの原料であるトリプトファンが不足していれば回復しにくくなります。そこでトリプトファンを多く含む食物を積極的に摂取すると効果的です。具体的には、バナナ、カボチャ、スチーズ、豆乳などが推奨されています。
3. 糖分の補充
トリプトファンが効率良く吸収されるためには、糖分が重要な役割を果たします。糖分というのは、具体的には炭水化物や甘いものです。冬季うつ病の特徴的な症状に炭水化物や甘いものが欲しくなることを紹介しましたが、これは自己防衛反応であると考えられ、自然に通常より多く摂取されている場合が多いかと思います。
イギリスでは
英日曜紙サンデー・タイムズによると、ロンドン警視庁が職員のやる気向上を狙って、高照度照明装置を導入し、職員のやる気向上をあげようとしているニューズが掲載されました。つまり、光療法による冬季うつ病対策です。
食堂内に2台設置して、30分間光を浴びれば、気分が高まり活力が増すとされ、職員に昼食や休息時に使うよう勧めています。
英国では冬場は極端な光不足に陥るので、冬季うつ病(季節性情動障害)だけで、人口の1割弱の500万人にも上ります。日照不足による脳内の化学成分の変化が原因とみられるそうです。 このようにイギリス警察が職員のやる気対策として間がなければならないほど、深刻な問題なのです。
英国ではこれ以外にも、公共施設で高照度照明が設置されている場所があり、誰でも高照度照明による光りを浴びられる施策が確認出来ます。そこまで実施してしまう行政の意識の高さには問題の大きさがハッキリと見て取れます。
日本の冬季うつ病は?
日本は、英国ほど緯度は高くないですが、それでも緯度の高い地域や日照時間の少ない日本海側では冬場になると似たような条件となり、毎日のように曇って暗い日々が長く続きます。したがって、冬季うつ病の方が多いと言われています。
ただ、ブライトライトの販売量は東京・大阪などの人口の多い都市が一番多く、地域差はそれほど大きくありません。緯度や日本海側と太平洋側という要素に加え、地形条件、日光が入りにくい部屋に住んでいる、夜勤で日照を浴びる機会が少ないなど、様々な条件が関連しますので、日本中どこでも冬季うつ病が発生していると言えます。
また、琉球大学病院の精神科を訪問した際に、沖縄にも冬季うつ病の方がおられることを伺い驚いました。沖縄のような南の緯度でなぜ?と思いましたが、冬場は曇りの日が多く、年中夏の青空の沖縄のイメージとは少々異なるようです。
病院院長向け雑誌「集中」(MdeiCon)で、冬季うつ病の記事として
ページの真ん中にブライトライトMEが紹介(2009月7月)
日光の入らない部屋の場合も
秋冬の季節に限らず、日光の入らない部屋に住んでいる方も冬季うつ病と同様の症状が出る場合があります。
立て込んだ住宅地では建物と建物の間が狭かったり、元々北向きの部屋だったり、前に大きなビルが建っている場合など、日光が部屋に入りにくくなります。アパートや一人暮らし用のマンションでは、太陽光がほとんど入らない部屋が多くあります。また、女性の一人暮らしの方など、防犯のためにカーテンを閉め切ったままにしている方もおられ、常時、日陰に近い状態となっている場合もあります。
このような状態で部屋で長く過ごされる方の場合、冬季うつ病と同様の症状が現れる場合があります。部屋で仕事をしていたり、外に出るのが億劫な癖がついていると体調が悪くなりがちなので、できるだけ外出して明るい場所で過ごしたり、高照度光療法器具で光を浴びることが望まれます。
オレンジページの季刊誌「からだの本」(vol.4, 2010年1月27日)に冬季うつ病の特集が5ページにわたって組まれています。
その中で、光療法の有効性が説明され、ブライトライトMEのイラストが2カ所で描かれています。